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研究科各専攻について

物質理学専攻 物理系

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非平衡物理(R)

学部の熱力学・統計力学で学ぶ対象は、例外なく熱平衡系である。 しかし、身の回りを眺めると、面白い現象はほぼ例外なく、熱や物質の激しい流れを伴う非平衡状態で起こっている。 だが、それらを理解するための普遍法則は確立していない。 R研では、様々な非平衡現象を計算機シミュレーションおよび解析的方法を使って行っている。現在、研究室で行われている研究の主な内容は、 1)ソフトマターの非平衡統計物理学:コロイド系におけるブラウン運動や巨視的な粘弾性などのレオロジー挙動、自己組織化など。 2)過冷却液体のガラス転移の理論的研究。ガラス転移の熱力学描像の確立に向けた大規模数値シミュレーション。 3)非平衡現象の数理模型の解析。などである。

物性理論(凝縮系)(Sc)

量子力学に従う無数の粒子が相互作用する物質中では、物質固有の興味深い現象が発現する。 典型例として、非従来型超伝導の発現や多彩な相転移現象・新基準粒子の出現による新物性がある。 このような凝縮系物理における重要問題を、場の理論に基づき解析的および数値的に解明する研究に取り組んでいる。 最近の主なテーマは以下のとおりである。
1)電子相関の理論:遷移金属化合物や希土類金属、有機導体では、電子間に働く強い相互作用によって、高温超伝導現象など様々な興味深い現象が発現し、その解明に取り組んでいる。 2)量子相転移現象:量子力学的な揺らぎが協力的に発達した金属において実現する、電子液状秩序などユニークな自己組織化現象や、臨界現象を研究している。 3)新基準粒子による創発現象:金属中では、波動関数のベリー位相より、有効質量ゼロのDirac粒子など多彩な準粒子が出現し、その興味深い物理現象を研究している。

物性理論(量子輸送)(St)

物性物理学における現代の諸問題のなかでも、スピントロニクス、トポロジカル物質、量子輸送現象を中心に理論的に研究している。 スピントロニクスは電子のスピンを利用してエレクトロニクスの技術革新を図る分野であり、物理学の観点からも興味深い新現象が多い。 また近年、固体内電子の波動関数が非自明なトポロジーをもつ新しいクラスの物質(トポロジカル物質)の存在が認識されてきた。 これらについて、量子統計力学や場の量子論の手法にもとづき解析的・数値的に研究している。 最近の研究テーマは、1)トポロジカルな磁化構造と電気伝導、2)電子以外の素励起によるスピン輸送、3)反強磁性体やトポロジカル物質を舞台としたスピントロニクス現象、4)力学的スピン流生成、5)新規トポロジカル量子現象の提案、など。

計算生物物理(B)

Biological complexes, structured ensembles of proteins and nucleic acids, perform many vital cellular functions and dysfunctions of those result in severe diseases. In order to understand diseases and develop treatments, the functional mechanisms of these biological complexes need to be elucidated. A crucial step in this process is the characterization of the structure and dynamics of these complexes. Our goal is to develop computational methods to obtain atomic level description of the functional states of biological complexes. Such methods will rely on the integration of computational simulations with various experimental data such as high resolution X-ray crystallography, lower resolution cryo-EM and X-ray Free Electron Lasers.
The research in the lab is interdisciplinary. We use physics, chemistry, and computational science to study biological system. More specifically, to describe the dynamics and energetics of biological molecules, we use empirical force fields based on the physico-chemical properties of atoms or, to reduce complexity, we also use coarse-grained models. Then methods such as molecular dynamics simulations/normal mode analysis are used to obtain structural models by incorporating experimental data into the modeling procedure, where numerical optimizations techniques, such as Monte Carlo and gradient following techniques, need to be implemented in programs.

理論生物化学物理(TB)

生体分子も運動方程式にしたがって運動している。量子力学、統計力学、計算機シミュレーションなどの手法を組み合わせ、生体分子の立体構造、ダイナミクス、反応の仕組みを研究する。まず、生体分子の立体構造の構築原理を研究する。 すなわち、蛋白質の折り畳みなどを計算機シミュレーションにより調べる。 また、立体構造が与えられたとして、生体機能、すなわち、生体における高効率エネルギー変換の仕組みや高感度情報変換の仕組みなどを理論と計算機シミュレーションによって研究する。 また、光合成反応の初期過程に関する未解明な仕組みを解析的手法により研究する。

固体磁気共鳴(I)

電子間の相互作用が非常に強い電子系(強相関電子系)では、電荷・スピン・軌道の内部自由度がからみ合って多彩な新しい物性が現れる。 当研究室では、原子核をプローブとするミクロな手法である核磁気共鳴法(NMR)を主たる測定手段として、典型的な強相関電子系である遷移金属酸化物などの新しい物性の発現機構を解明することを目的とした研究を進めている。 具体的なテーマは、特異なスピン状態の起源の解明、軌道秩序と軌道揺らぎの観測、幾何学的フラストレーションを持つ電子系の新奇物性の探索、励起子絶縁体の探索、鉄系超伝導体などの新規超伝導物質の物性の解明などである。 さらに、高温・高圧等極端条件下でのNMR測定技術の開発も行う。 また、NMR測定で用いる試料の合成と電気抵抗率、帯磁率、熱起電力などの基礎物性の測定も行う。

ナノ磁性・スピン物性(J)

ナノスケールで顕在化する新規磁性・スピン物性の解明と物理学の新概念の創出を目指した研究を推進している。 最先端成膜・微細加工技術を駆使することで、新現象の発現の舞台を自ら人工的に設計・創製し、従来アプローチすることが困難であったような領域、特に、電子系・フォノン系・スピン系が強く結合したミクロな界面状態に関連する新領域を開拓する。 最近の研究テーマには、1)マルチフェロイクスと交差相関、2)準粒子の伝播とトンネル現象、3)マグノン-フォノン結合と熱輸送、4)スピン流と磁気秩序との相関、等がある。

磁性物理学(M)

従来の固体電子論の常識を打ち破るような、新しい現象の発見を目指す。実験的には、新物質(Heavy fermion を中心とした結晶や準結晶)の合成、良質の単結晶の育成、および極低温・高圧下における物性計測手法の開発を行う。 最近の研究テーマの例を上げると、1)超伝導になる磁石などにおける超伝導発現機構の解明、2)半導体中におけるエキシトンのBose-Einstein 凝縮の探索、3)準結晶(周期性を持たず、結晶では許されない回転対称性を持つ物質)における量子臨界現象の起源の解明などである。

機能性物質物性(V)

面白くて役に立つ新物質を設計・合成し、その物質の持つ機能を測定・理解することを研究目的とする。 機能としては、物質の電気特性(電気伝導率、誘電率、熱起電力、非線形伝導など)に重点を置き、磁気的性質や光学的性質を測定することによって、その物質を総合的に理解することを目指す。 現在は、1)室温付近で巨大応答を示す酸化物、2)珍しい構造から生じる新しい電子相、3)光照射によって制御できる誘電体や半導体、4)酸素ネットワークの変形がもたらす強誘電性の4テーマに興味がある。

生体分子動態機能(D)

タンパク質や核酸などの生体高分子は、構造変換や自己組織化、周囲の分子との結合や解離といった様々な動的過程を通じて独自の機能を発揮し、その階層的集積と連鎖が、細胞、組織を介して個体の生命活動として結実している。 生命を理解するためには、その素過程、すなわち個々の生体高分子の構造とその時間発展、周囲の分子との動的相互作用などのダイナミクスを高精度に計測し、分子が働く作動原理を明らかにすることが重要である。 我々の研究室では、溶液中環境下で高い時空間分解能で試料を可視化できる高速原子間力顕微鏡技術をベースに、物性マッピングが可能な新規機能の開発や他の先端一分子計測手法との複合化を進め、動態と機能が密接に関連した様々なタンパク質の機能発現機構を解明する。 また、X線回折実験などの構造解析法を駆使して、生体分子の高次構造構築原理の解明も行っている。

光生体エネルギー(G)

太陽エネルギーによって生命活動のエネルギーを創り出す光合成は、地球最大の生体エネルギー変換系であり、酸素呼吸型生命との炭素・酸素循環を通して地球環境を維持している。 40億年にわたる地球と生命の共進化の主役であった、この光エネルギー変換系は、蛋白質と色素・金属によって精巧に構築された生体ナノシステムであり、高い量子効率と環境に応じた様々な制御機構を持つ。 我々の研究室では、光合成における励起エネルギー・電子・プロトン移動の動的メカニズムを原子・分子レベルで明らかにし、光合成生命の進化過程を考究する。 そのため、赤外分光を用いて巨大蛋白質複合体中の個々の分子振動を検出し、電子スピン共鳴を用いて電子の動きを捉える。 特に、光合成研究の最大の謎である、水分解による酸素発生の仕組みの解明に挑戦する。

細胞情報生物物理(K)

生命現象は、様々な時空間スケールでの情報処理、情報伝達を伴う。生命現象に見られる情報変換の機構や過程を研究する。 テーマの一つは、蛋白質のフォールディングや複合体形成機構の研究である。フォールディングは、ポリペプチド鎖が、特異的な天然立体構造に変換される過程であり、さらに複数の蛋白質が複合体を形成することによって機能を発揮するものもある。 独自に開発した高速反応測定法や分光学的手法を用いてその物理的機構を解明し、分子レベルでの生命現象の理解を目指す。 もうひとつのテーマは、細胞内、細胞間での情報伝達過程の解析である。細胞内での生体分子などの動きと反応をイメージングや電気生理学的手法を用いて測定し、その動態と変化の機構を解明する。

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